こらむの11

「山で出会った人達　２」っつ～話

その１　メシ食えば

某人気どころの山に登った時の話。
山頂からちょっとずれた所の展望地でお昼にしようと思った自分、展望が良いポイントだけに、その日もハイカーで一杯だった訳で。
それでも何とかスペースを取って、お昼のラーメンでも作ろうとコンロなど用意していますと、たまたま自分のすぐ横に座った３人組の女の子たち・・・歳はハタチちょっとくらいだろうか、自分がやることをじっと見ておりました。

「それ、何してるんですか？」

携帯コンロを指差して訊くもんですから、これでラーメンを調理してお昼にすると返事をしますと、ほーっと納得したような顔してました。
丁度昼時だったので周囲でもみんな弁当やら何やら調理やらしてたんですが、その女の子たちは何もする様子がない。
反対側に座っていた男性が「何か食べへんの？」と訊きましたら、女の子達返す返事が

「あ、何も食べるもの持ってないです」

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普通・・・普通、山の中入るのに食べ物も何も持たずに入りますか？　普通！！
もちろんその山、山小屋は無いし登山口周辺に限って言うとコンビニすら無い、自販機も無い、あるのはせいぜい水場だけ。
バスですぐ登山口へ乗りつけられるとはいえ、何で食糧無しで山に入ってくるの？？！！

結局、その話しかけた男性が余分目に持っていたおにぎりを貰って食べてました、その女の子たち。
警戒心が無いのも相まって、これで大丈夫か、色々と・・・と思った次第。

その２　人外

京都の某山を歩いてた時の話。

大体において、京都の山で麓に寺社仏閣なんかがあったりすれば、それだけで雰囲気がそっち方面（お察し下さい）に染まりそうな気分もすると言う、そんな京都の山事情はともかく、その山のコースは少々マイナーなところでした。
強いて言えば、今は別ルートがあるので廃れてしまったという風な、有名な寺社が近くにあると言う登山コースでした。

当然、利用する人も少ないであろうことはネットの情報が極端に少なかったことからも明らかで、でも元々単独行が常だった自分にはどうってことないコースだった訳です。
しかし道に不安があるとかとは別に、出会うと思っていなかった他のハイカーにいきなり出くわすとチョットビビったりはするもんです。

気分良く尾根道から登り下りのコースを下っていると、反対側から、これまた単独の女の人が歩いて来ました・・・単独の女性は珍しいとは思いませんが、思わぬところで他のハイカーと行きあった自分、一応挨拶をしました、普通に、マナーとして。
しかしその女性、歳は５０代から６０代くらいでしょうか、何の返事も一瞥もなく、そのままさっさと斜面を登って行き、するするっと見えなくなってしまいました。
おもわず「ちょっとー！　すみません！！」とまで声かけてしまいましたが、それにすら返事も無く振り返りもせず・・・ただ、何か聞き取れない声で何か呟いてたような、何を言ってるのか理解できないような言葉だったような・・・。

これだけなら単にマナー悪いなー、で済む話だったのですが、その後しばらく歩いて行くと、今度は数人の山岳会と思しき人達が、自分の後ろからガヤガヤと登って参りました。
今度も挨拶を交わすと、皆さん普通に挨拶を交わして下さり、ついでに雑談にも応じてくれたわけです。
そこでポロっと先程の女性の事を思い出し、団体の皆さんに「先刻も単独の女の人を見て挨拶したけど返事してくれなかった、日本人じゃ無かったのかなー？」と言う話をしましたら、皆さん妙な顔をして「そんな女性とはすれ違わなかった」と仰る・・・。

一応、道中は一本道ですよ、一応・・・ハッキリとした分岐は無いです、一応・・・。

団体の女性の方は「きゃーこわい」と言う顔をされてましたが、モロに遭遇して声かけてた自分、冷や汗ちょっと出ちゃったですよ。
本当、一体何だったんでしょうかね、アレ・・・。

その３　くっついてくる人

山仲間じゃないけど、Ｎ県Ｍ市出身の知人Ａちゃん（現在主婦）の話。

土地柄か、彼女も学生時分から山岳部に所属してまして、高校生にして一丁前の山登らーだったそうな・・・それなりの装備使って登るような山でもサクサク行くような、まさにＮ県の子！という感じの子だった訳で。
そんな彼女がある時、山岳部メンバーと登りに行くことになりまして、装備もそろえて○高地から出発したんだそうな。
出発してしばらくして山岳部の面々、後ろからついてくる人に気がついた・・・それも、上○地からそのままついてきたのか、足元スニーカーに小さなリュックを背負っただけのような、そこらで散歩だけしてたような格好の女性二人組。
それでもしばらくは気にせず、Ａちゃん以下メンバーはどんどん目的の山まで歩いて行ってたわけですが、どういう事かその二人組も挫けもせず軽装のまま山岳部にくっついて歩いてくる。
で、とうとうある程度の装備がないと危険、という箇所まで来て、二人組のうちの一人が山岳部メンバーに声かけてきて・・・

「あの、これ何処へ行く道ですか？」

どうやらその女性二人、女子高生が行くような道だから散歩気分でも大丈夫だろう、と踏んでくっついてきたらしく、案の定というかやはりドコかの山に登ると言う目的ではなかったそうな。

で、ココまで聞くと良くある「道は判らないけどついて来ちゃった」案件なんだろうけど、更にこの女性二人

「じゃ、私達これからどうしたらいいんでしょうか？」

何故それを訊く？！

「そんなもん知るかってーーの！！！」（Ａちゃん談）
※一応追い返す格好で元来た道を戻らせたらしい。
Ｎ県では女子高生と言えど甘く見てはいけないと言う話でした・・・。

追記：
自分　「Ｎ県だと簡単に色んな山行けるんやろー？　『お母ーちゃん、ちょっと奥穂まで登ってくるわー』　『晩御飯まで戻って来ぃーや！』　とか話するん？」
Ａちゃん　「そんなん無理」